管仲@宮城谷昌光 [書評]
管仲という人は有名だが、どこがエライのか、いまひとつわからなかった。宮城谷さんの文庫本を、そんなことを考えながら読んだ。
結論をいうと、「苦労して宰相になり、宰相としての能力が高かった人」ということなのだろうが、人としての魅力は「管鮑の交わり」で知られる鮑叔のほうがあると思った。
のちの桓公を殺そうとした管仲を許すように進言したり、管仲を推挙したら自分は身を引いたりと、行動がさわやかである。一方、管仲はわかりにくい。そのため、鮑叔などに「管仲は大才がある」といわせたりして、なんとか管仲を持ち上げようとしているが、人としてのすごみが伝わってこなかったのが残念である。
それでも、宮城谷さんの中国小説を読むと、いろいろと考えさせられる。また読み返したいと思う。
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