戦国の女たち [書評]
司馬遼太郎没後10年ということである。この間、『城を取る話』『侍はこわい』『大盗禅師』などの「新作」文庫が発売され、死してなお私たちを楽しませてくれていた。
今回、『戦国の女たち』(PHP文庫)が発売されたので、さっそく購入した。
私は、本を購入するとき、まず後ろから開ける。いつ発売されたか、どれくらい売れているかを確認するのである。最近は、装幀を変えたり、タイトルを変えたり、会社を変えたりして、同じ小説が「リニューアル」されていることもある。
今回のような短編集だと、出典を見なくてはならない。
すると、今回の短編集は、ほとんどが『一夜官女』と『豊臣家の人々』に出ていた作品とわかった。
こういった短編集は、編集のセンスが問われる。『戦国の女たち』というコンセプト自体はありふれたものだが(事実、『戦国の女たち』と検索すると、いろんな作家の作品が出てくる)、6作品を「無名女性→有名女性」の順で並べたのは、飽きさせない工夫だと思った。
また、一度読んだ作品であっても、さすが司馬遼太郎だけあって、楽しくあっという間に読むことができた。が、余韻や感動のようなものは残らない。それが、司馬遼太郎の特徴なのだろうか。
できれば、一作品でもいいから、「文庫未収録」のようなものが収録されていると、もっとよかったと思う。そんな作品が、まだ残されているのかどうかは知らないが。
しかし、これはPHP文庫としては初めての司馬遼太郎の歴史小説であり、発刊にこぎ着けるまでには関係者の努力があったことと思う。今後に期待したいと思う。
戦国の女たちを今読み始めようと思っているところです。昔の文庫より文字が大きいのでヨカッタ!
by 可愛いパピ (2006-03-26 12:29)
可愛いパピ様、コメントありがとうございます。
PHP文庫には、新作の歴史小説を期待したいと思います。
私のお気に入りの作家である、岳宏一郎、安部龍太郎、火坂雅志、宮本昌孝、佐藤雅美、風野真知雄あたりの新作、あるいは、白井喬二や羽山信樹の旧作の文庫化がいいな。
by ルナトラ (2006-03-26 22:23)